ピアノ調律豆知識

調律料金の相場は?料金が違うのはなぜ?調律歴30年の経験から回答します

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ピアノは鍵盤を弾くとアクションという様々なパーツが連動する箇所を経由して、ハンマーが弦を叩くことで音が出ます。

弦はとても強い力で引っ張られていて、その引っ張られている具合によって弦から出てくる音が変わります。

弦を強く引っ張れば音が高く、弦を引っ張る力を弱めれば音が低くなります。

ピアノの調律はこの弦の張り具合を調整して音程を合わせる作業なのですが「調律料金がわかりにくい」という声をいただくことがあります。

調律師として30年以上活動をしてきた1級ピアノ調律技能士平山響一郎のピアノ調律料金についての考え方をご案内いたします。

調律料金はどんな作業に対して支払うもの?

ピアノの調律料金は、その名の通りピアノの音程を合わせる・揃える作業に対してお支払いいただく費用です。

冒頭でもご案内している通り、ピアノの弦の張り具合を調節してピアノの音程を合わせるのですが、88の鍵盤ひとつずつ何度も弾いて調律をします。

低音部になるとひとつの鍵盤に対して音を出す弦は2本・1本と少なくなるのですが、高音部から中音部までの鍵盤では、ひとつの鍵盤に対して音を出す弦は3本張られています。
一般的に、88の鍵盤のピアノに張られている弦は230本前後になります。
ひとつの鍵盤の音程を調節するだけでも複数の弦の張り具合を調整することになりますし、複数の弦はそれぞれの張り具合がそれぞれに影響するため、単純に弦の張り具合を同じにすればいいわけではありません。
さらに、1本あたりの弦は70-80kgほどの張力で張られているので、調律は繊細かつ力のいる作業です。

また、調律には専門の道具と知識が必要なのはもちろん、ピアノの個体差もあるので、誰にでも調律ができるわけではありません。

ギターやバイオリンなどのチューニングが簡単で誰にでもできるものだとは思いませんが、ピアノの調律料金は非常に大掛かりで難易度が高いピアノの音程を合わせる・揃える作業に対してお支払いいただく費用です。

調律師や業者によって調律料金が違うのはなぜ?

ピアノの調律を依頼するときに、インターネットやポストに投函されるDM、楽器店のチラシなどいろいろな情報を調べるのではないでしょうか?

その中でも、最も気になるのが調律料金だと思います。
ピアノの調律料金は調律師や調律をしている業者によってまちまちで、調律というピアノの音程を合わせるという作業の費用が、なんでそれぞれの調律師や調律をしている業者で違うのか不思議ですよね。
調律歴30年の経験から、調律料金の違いの考え方をご案内します。

一言で調律師といっても、いろいろな働き方があり、楽器店や修理工房などの組織に属して組織として依頼されたピアノの調律だけをする調律師もいますし、組織に属しながら個人としても調律をしている調律師もいます。
そして、私のように個人として活動している調律師であっても全てが個人として請け負っている仕事というわけではなく、メーカーや楽器店からの嘱託による調律の仕事もしています。

その前提で、調律師の仕事の仕方には下記の2種類があり、それぞれで調律料金の考え方が異なります。

  1. とにかく調律の数をこなし、現場の数・実績が増えることに喜びを感じる調律師
    →数をこなすことで稼ぎを維持するために8,000円から12,000円ほどと決まっている相場で調律をする
  2. 調律を通してピアノの状況を見守り、コンディションを良くすることに喜びを感じる調律師
    →先を見越した調律・メンテナンスプランでコンディションを良くする提案が含まれている

どっちが正しい・良いというわけではなく、調律という仕事に対する考え方の違いです。
この2種類のどちらか一方だけというわけではなく、両方の考え方を持っていてその比重が調律師によって異なるイメージです。
また、技術の高さに関しては全く別のお話です。

平山響一郎の調律料金の考え方

現在、私の調律の仕事は「調律を通してピアノの状況を見守り、コンディションを良くすることに喜びを感じる調律師」のタイプです。

手前味噌ではありますが、ある程度の経験を積んだ個人として活動しているベテラン調律師では「調律を通してピアノの状況を見守り、コンディションを良くすることに喜びを感じる調律師」が多い傾向があります。
私の場合は、たくさんの方にわかりやすい料金で調律の依頼をしていただくために調律の出張費用無料のエリアを広くし、アップライトピアノで15,000円(税別)、グランドピアノで20,000円(税別)という調律料金を設定しています。

私のような生業として個人で活動している調律師は調律料金をいただくことで生活をしていますが、30年以上の経験から数をこなすことで稼ぎを求めるよりも、お客様のピアノ一台一台を長い目で見守り、定期的な調律をすることでコンディションを良くすることにフォーカスしています。
そのためにはお客様とお茶を飲みながら今後のメンテナンスプランをご提案させていただき、共有する時間が大切になります。

私が設定している調律料金は、金額だけを見ると他の調律師と比べてやや高いように見えてしまうかもしれませんが、適切なメンテナンスプランを立てることでピアノを育てる方向性が定まると、突発的な故障による想定外の修理費用が抑えられて、結果的に調律も含めたピアノのメンテナンスコストを低く抑えることができます。
また、出張無料エリアを広く設定し、後述する調律をしていない期間が長い場合の料金加算もなく、長い目で見たメンテナンスプランをご案内させていただくので、調律料金そのものも他の調律師の方とそう大差のない料金になります。

調律していない期間が長いと調律料金が高くなる?

調律料金でほとんどの調律師が「前回の調律から●年以上経過している場合は別途プラス費用」という設定をしています。

ピアノの調律は定期的に行うことが前提になっているので、調律をしていない期間が長ければ長いほどピアノの弦の張力は緩んで音が低くなっていることが多いので張力を戻すためには定期的に調律されているピアノより多くの労力を要しますし、ピアノの内部の清掃もされておらず、チューニングピンもその間動かされていないので、調律そのものの手間がかかるという意味で別途費用が必要だという事だと思います。

これまでの私の経験では、ピアノを調律していない期間が3-4年あった場合は確かに音が下がってしまっていることはあります。
しかし3-4年程度の調律をしていない期間があっても調律の依頼をしていただけるピアノオーナーの方は、少なからずピアノに触れている方が多いのでピアノが完全に眠ってしまっているという事はなく、調律をすると素直に音が合うピアノが多いです。

もちろん保管状況やピアノの個体差もあり、1年に1度定期調律をしていても音が大きく狂うピアノや響きが悪いピアノもあるので、私個人の見解としては「前回の調律から●年以上経過している場合は別途プラス費用」という調律のみの作業に対する料金設定をするよりも、その「別途プラス」となる費用を修理や調整に充てた方がピアノオーナーさんも納得感が高く、ピアノにとっても良い状態に近づくと考えています。

さらに「前回の調律から●年以上経過している場合は別途プラス費用」という条件で料金設定をしてしまうと、ピアノオーナーさんとの見解の相違が発生しやすいという事が言えます。
これまでの経験で、定期的な調律をしていないピアノオーナーさんは前回のピアノの調律が何年前かを正確に把握していない場合があります。
ピアノオーナーさんは3年ぶりの調律だと思っていても、実際には5年ぶりの調律だったという事はよくあることで、前回の調律から経過している年数によって加算される費用が変わってしまい、最終的な調律料金がわかりにくくなってしまいます。

わかりにくい調律料金で、もともと想定していた調律料金よりも高い費用を請求されてしまうと、そのピアノオーナーさんは定期的な調律をしにくくなってしまいますし、それではピアノがかわいそうです。

それでも多くの調律師が「前回の調律から●年以上経過している場合は別途プラス費用」という設定をしていて、その料金設定が当然のようになっていますが、響 tuning officeではよりわかりやすく、最終的な調律料金は他の調律師の方とそう大差のない料金になる、納得感の高い料金設定をしています。

調律とは別に整調という作業で費用が追加されるのはなぜ?

ピアノの調律料金とは、その名の通りピアノの音を合わせる・揃える作業に対してお支払いいただく費用です。

調律をする時にはピアノの鍵盤や弦の調整をするチューニングピンだけでなく、アクションやハンマーなど、アップライトピアノではカバーで覆われていて普段あまり目にすることがない部分のカバーを外して作業をするのですが、この普段あまり目にすることがない部分に詰め込まれているメカニック的な部分(鍵盤を押すと動く「アクション」といわれる箇所)などを調整することを整調といいます。

整調をすると鍵盤を弾くときの重さや鍵盤の沈む深さ、鍵盤が戻る力などを変えることができて、ピアノの弾き心地をほんの少し変えることも劇的に変えることもできます。
つまり、整調というのはピアノの音を合わせる・揃える調律の作業とは全く異なります。

調律師はたくさんのピアノを目で見て触っているので、ピアノの個体差や劣化具合に合わせてメカニック的な箇所を調整することで改善できる事があればご提案をさせていただきます。
数多あるピアノのパーツの中でも特に劣化しやすいのがブッシングクロスで、ブッシングクロスが摩耗すると鍵盤がほんの数ミリ左右にぶれるようになったりするのですが、ブッシングクロスを交換する時にはピアノオーナーさんの好みのタッチに調整をするとより演奏しやすくなります。

このように、演奏体験をより良いものにするためのご提案はさせていただきますが、作業としては調律とは全く異なるため、その都度費用を合わせてご案内させていただいています。
もちろん響 tuning officeではピアノオーナーさんの了承を得ずに勝手にパーツの交換や整調をして調律費用以上の料金を請求することはありませんので、ご安心ください。

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作業中は電話に出られない場合がありますが、後程折り返しいたします。
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