東京都北区のT様宅でボストンのグランドピアノ、GP-178を定期調律しました。
約1年ぶりの訪問ですが、何だか今までとお部屋の雰囲気が違うような…?!
なんと、ピアノの部屋を静まり返った夜間でもピアノの演奏ができる防音室にしたそうです!
ご主人から伺ったお話しでは、外に出て耳をすまして音を聞くと、ピアノの音よりエアコンの室外機の音の方が大きいとのこと。
これはさぞかしお高かったのだろうと思い、私の予想の金額をお伝えしたところ、その約倍の金額という事で、さらに驚きました!
お嬢さんは現在中学生で、音楽大学を志望しているそうなので、大切なお嬢さんのために24時間演奏OKの防音室を導入してくれる親の無償の愛(実際には無償ではなく驚きの金額の防音室でしたが)に思わずウルっと来てしまいました(涙)
お嬢さんの今後の活躍が楽しみです。
さて、今回は定期調律だけでなく1日かけてのメンテナンスです。
全国のコンサートホール等では毎年1日~2日かけて保守点検を実施していて、それと同様にまずは掃除を。
どんなに毎日しっかり掃除をしていても、鍵盤の間やピアノの中にはどうしてもホコリが溜まってしまうので、棚板の上から鍵盤一式を引き出してしっかり掃除をします。
そして今回の最大の目的は、アクション部の動作をスムースにすることです。
グランドピアノでもアップライトピアノでも、1つの鍵盤が2-3グラム重くなれば10本の指すべてにその負担がかかるため、快適に演奏するためにこの基礎的な作業はとても大切です。
たまに「前の調律師さんに鍵盤を重くしてもらった」等の話も聞きますが、実際は動作が悪くなって重くなってるケースがほとんどです。
ピアノを弾く人それぞれで力も体格も違うので、繊細なピアノ表現をするために物理的に鍵盤の重さを調整する作業はあります。
しかし、鍵盤の重さを調整するのはとても精密な作業なので、調律のついででは不可能です。
そのため、今回はしっかり1日かけて鍵盤の重さを調整しました。
写真では見えにくいですが、旅人スナフキンの右側リトルミイの背後にウィットナー社製のメトロノームがさりげなくも存在感を放ちながら鎮座しています。
T様の音楽に対する造詣の深さと愛を感じます。